講話 - 広島学院中学校・高等学校 /kowa/ Mon, 30 Jun 2025 02:54:44 +0000 ja hourly 1 250630 全校朝礼「平和を実現する人々は、幸い」 /kowa/kowa-65526/ Mon, 30 Jun 2025 02:54:02 +0000 /?post_type=kowa&p=65526  先週、文化祭が終わったと思ったら、今日から期末試験1週間前。 ジェットコースターのように目まぐるしい1学期の締めくくりですが、どうか一人ひとりが最後…

投稿 250630 全校朝礼「平和を実現する人々は、幸い」広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
 先週、文化祭が終わったと思ったら、今日から期末試験1週間前。 
ジェットコースターのように目まぐるしい1学期の締めくくりですが、どうか一人ひとりが最後まで力を尽くし、充実した夏休みを迎えられるように準備をして下さい。 

 さて、1週間前の6月23日は「沖縄慰霊の日」でした。 
本校でも、伊藤先生の呼びかけに応じた生徒たちが、広島女学院の生徒とともに比治山陸軍墓地にて「平和の集い」を行いました。沖縄戦では、県民の三分の一から四分の一方が犠牲となりました。爆撃や銃撃だけでなく、食料も医療も尽きていく中で、日常という日常がまるごと破壊されていった悲劇でした。 

 そして、来たる8月6日と9日―― 
 広島と長崎に原子爆弾が投下されてから、ちょうど80年という節目を迎えます。 
 「なぜ、私だけが生き残ったのだろう」 
 沖縄、広島、長崎…3つの地域の被害者からよく聞く証言です。一つの戦争が、街を、人を、そして心を打ち砕きました。その傷跡はいまも癒えていません。 

 一方で、今の世界に目を向けると、パレスチナでは子どもたちが瓦礫の中で眠り、イランとアメリカは緊張を高め、ウクライナとロシアの戦争も終息の兆しが見えません。突然、遠い国に話がうつり、ピンとこない人もいるかもしれません。しかし、かつての沖縄も広島も長崎も、ほんの数年前までは、「戦争とは無縁」だと思われていた、ごく普通の暮らしがあった町でした。 

 被爆80年を迎える今年、私たちは改めて問われています。 
「なぜ、あのような惨劇がおこってしまったのか?そして、形と時代を変え、惨劇は繰り返されているのか」 

 今日は個人のレベルでここを考えて欲しいと思っています。もちろん、私たち一人ひとりに、世界の戦争をすぐに止めるには微力かもしれません。 

 でも… 
 ・言葉で誰かを傷つけないこと。 
 ・意見が違う人を、対話の中で尊重すること。 
 ・自分だけの正義を振りかざさないこと。 
 ・自分がアップデートを怠っているのに、文句ばかり言うことをやめること。 
 ・身近な「争い」を、少しずつ「ゆるし」や「理解」に変えていくこと。 
 それなら、今日からでもできます。 
 平和とは、遠くの国で生まれるものではなく、教室で、部活動で、家庭で――「わたし」がどう生きるか、で生まれるものです。広島で学ぶ私たちは、その責任と希望のただ中に生きています。日々の小さな選択の積み重ねを、どうか大切にしてください。 

 今週の言葉は 
 「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイによる福音書5章9節) 

 沖縄慰霊の日から、8月15日に向かうこの時期、何気ない日常の中で、試験前だからこそ、小さな平和を実現することが意識できますように。 

 なお、近いうちに広島教区で行われる平和行事の案内が周知される予定です。 
 被爆80年のこの夏、できるだけ多くの学院生が参加し、過去と未来に向き合い、静かに心を研ぎ澄ます時間を共有してくれることを願っています。 

投稿 250630 全校朝礼「平和を実現する人々は、幸い」広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250616 全校朝礼「MAGIS」 /kowa/kowa-65014/ Mon, 16 Jun 2025 03:58:14 +0000 /?post_type=kowa&p=65014  先週末、国際会議場で小学生保護者に対して「広島学院スクールガイダンス」が行われ、そのプログラムの中で、ブラスバンド部が本当に素敵な演奏をしてくれまし…

投稿 20250616 全校朝礼「MAGIS」広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
 先週末、国際会議場で小学生保護者に対して「広島学院スクールガイダンス」が行われ、そのプログラムの中で、ブラスバンド部が本当に素敵な演奏をしてくれました。近い席で鑑賞できたこともあって、私はその演奏に大変心が揺さぶられたのですが…司会の中村先生が、今日の演奏の出来を顧問の賀茂先生に尋ねたところ、賀茂先生は観衆の前でいつもの温和な笑顔を浮かべながら「今日演奏したのは、コンクールに向けて練習している曲です。そう考えると…35点」と仰いました。会場にいる保護者そしてもちろん、私もびっくりしましたが…一方で、学院卒業生の賀茂先生、そしてその薫陶を受け、ご指導を受けているブラスバンド部の皆さんから「MAGIS」の精神を強く感じました。 

「MAGIS」。 

 皆さんのポロシャツに刻まれている文字ですね。ラテン語で「もっと」という意味の言葉です。でも、「もっと点をとれ」とか「もっと偉くなれ」といった意味ではありません。「愛に生きるために、他者のために、より良いことを選び、より深く、より心をこめて取り組む」。それがMAGISの精神です。「MAGIS」が意味するのは、量の多さではなく、質の深さ。表面だけで終わらず、心の奥から動くこと。ただ終わらせるのではなく、そこに思いやりや意味を込めること。 

 いよいよ今週末は文化祭ですね。たとえば、皆さんが何かの企画の大道具担当だったとします。締切も近づいてきて、夕方遅くまで作業。ふと、こう思うかもしれません。 
「もうこれくらいでいいかな」 
「どうせ誰も気づかないし…」 
でもその時、MAGISを思い出してみてください。 
「もっと気持ちを込めて、より良いものにできるとしたら、どんな工夫ができるだろう?」 
「これが誰かの心に残るとしたら、何を大切にすればいいだろう?」 
 それは、誰かに勝つためではなく、誰かに感動していただくため。仲間との時間をもっと深く味わうため。見てくれる人の心により深く届くように。 

 文化祭の準備、色々な仕事があると思います。模造紙の文字を、丁寧に書き直すこと。あまり話さないクラスメートにも「手伝おうか?」と声をかけること。自分の担当だけでなく、困っている他の班の様子に目を向けること。ただ「やる」だけでなく、「なぜやるのか」を意識すること。それは小さなことかもしれません。でも、広島学院は、その「もっと深く」の心を大事にしてきました。 

 今週、文化祭の準備で疲れたり、焦ったり、イライラすることもあると思います。でも、こんな時こそ、MAGISの出番です。「MAGIS」というのは、比べることじゃなく、愛すること。いまの自分にできる「最善」を、心をこめて、深く選ぶこと。その先には、皆が喜び、楽しむ、文化祭テーマ「Re:Bell」の名に恥じない文化祭がきっとあるはずです。 

投稿 20250616 全校朝礼「MAGIS」広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250609 全校朝礼 /kowa/kowa-64667/ Mon, 09 Jun 2025 03:20:45 +0000 /?post_type=kowa&p=64667  4月下旬からこの週末にかけて、高校3年生65期の皆さんは、最後の公式戦や定期演奏会があり、それぞれが学院生活の一つの集大成として、ベストを尽くしたこ…

投稿 20250609 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
 4月下旬からこの週末にかけて、高校3年生65期の皆さんは、最後の公式戦や定期演奏会があり、それぞれが学院生活の一つの集大成として、ベストを尽くしたことと思います。私も可能な範囲で応援に足を運びました 。
 もちろん、勝敗や成果という結果はつきものですから、「やり切った!」という人もいれば、少しもやもやを抱えたまま引退を迎えた人もいることでしょう。けれども、どの競技・どの演奏にも共通していたのは、一つのことをやり切った清々しさ、仲間とともに走り抜けた美しさだと思います。その姿に、応援するはずの私の方が逆に励まされ、日常の一歩を踏み出す力をもらった気がしています。本当にありがとう。お疲れさまでした。 
 これから受験モードへの切り替えも大変だと思いますが、この時期まで一つの目標に仲間と取り組んだ経験は、これからの人生でも代えがたい財産になるでしょう。受験は団体戦です。学院生活も残り10か月。その経験を胸に、ぜひまた走り抜けてください。 

 さて、文化祭まであと2週間を切りました。皆さん、試験明けから準備に忙しい日々を送っていることでしょう。 
 これまで何度かお話ししてきましたが、この2か月、中心学年の高2・高1の皆さんは、行事のたびに自主的にチャレンジを重ねてきてくれました。「どうしたら周りが楽しんでくれるか」を一生懸命考えて動く姿勢に、私は深く感銘を受けています。関わっている先生方も、生徒の皆さんの取り組みに対して、「大人が先回りして準備し、成功体験や失敗体験を奪ってしまう」ことを意識的に控えていた点もとても素晴らしかったと思います。 
 入学式の交通整理、ガクもんでの演出、ナガ高生の歓迎セレモニーでの果敢なクイズ番組方式…。もちろんうまくいったことも、思い通りにいかなかったこともあったはずです。そのたびに私は「ナイスチャレンジ、ありがとう」と声をかけてきましたが、担当生徒は照れくさそうにうつむきながら「ありがとうございます」と返してくれました。悔しさや気恥ずかしさがあったのかもしれません。でも、そういう姿を見るほどに、私はますます今年度の学院が楽しみになります。 

 今週の言葉は「見よ、私は万物を新しくする。」(ヨハネの黙示録21:5)。終末において神が語ったとされる言葉です。 

 今年は校舎新築の関係で文化祭が例年より5か月も前倒しとなりました。準備は昨年度から進めてきたものの、特に幹部学年にとっては「去年と同じやり方が通じない文化祭」となっています。梅雨、熱中症対策…課題が山積のなかで、自分たちの頭で様々なシミュレーションをし、白紙から文化祭を創り上げる。そこに例年以上のやりがいがあるはずです。 
 文化祭は、「日常を一新し、学校を創造し直す」特別な時間です。ぜひ、いつものセーフティーゾーンから一歩踏み出してみてください。「学院の中の蛙」にならず、外の世界に響くようなチャレンジをしていきましょう。皆さん自身が「お祭りの創造者」としてひとり一人が呼ばれています。 
 新しく創造する喜びを存分に味わいながら、今年の文化祭テーマ「Re:Bell(反逆)」の名にふさわしい、活気に満ちた文化祭を皆さんが作ってくれることを期待しています。 

投稿 20250609 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250526 全校朝礼 /kowa/20250526-2/ Tue, 27 May 2025 05:20:32 +0000 /?post_type=kowa&p=64363  おはようございます。最初に一つ、お知らせです。 今週の火・水の2日間、フィリピンの首都にあるイエズス会の姉妹校、アテネオ=デ=マニラ高校から生徒21…

投稿 20250526 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
 おはようございます。最初に一つ、お知らせです。
 今週の火・水の2日間、フィリピンの首都にあるイエズス会の姉妹校、アテネオ=デ=マニラ高校から生徒21名と先生2名が本校を訪れます。「え、またアテネオ?」と思った人も多いかもしれません。前回はナガ、今回はマニラです。距離的には、尾道と東京くらい離れています。
 広島学院は、イエズス会の世界2,500校のネットワークの一員です。今回は中3・高1を中心に交流しますが、皆さん全体であたたかく迎えてください。なお、歓迎セレモニーは明日、中間体操の時間に前庭で行います。

 さて、中間試験が終わりました。すっきりしてる人、もやもやしてる人、いろいろでしょう。

 今週の言葉は「慰めと荒み(なぐさめとすさみ)」。これはイエズス会の創立者・イグナチオ・デ・ロヨラが、500年前から語っていた心の動き・作用を示すことばです。

 「慰め」は、心が温かく広がる状態。部活の後の達成感、友達との笑いや祈りの中の安心感。
 …たとえば、部活の後に「疲れたけど、今日の練習はよかったな」って思えるようなとき。
 あるいは、静かに祈って「何があっても、大丈夫だ」と思えたとき。
 先週スピーチしてくれた高3柔道部の谷口君や今週末までの公式戦で引退した高3運動部の皆さんのような状態は確実に「慰め」です。

 「荒み」は、逆に心が縮こまり、「どうせ無理」「全部投げ出したい」と思ってしまう状態。
 …たとえば、テストの点数を見て「将来もうダメかもしれん」と5秒で自己評価を下げてしまうとき。
 「どうせダメだ」「全部投げ出したい」「誰にもわかってもらえない」と感じるとき。

 イグナチオは言いました。
 「荒みのときに、大きな決断をしてはならない。」
 …部活辞めようかな。この授業、自分は切って捨ててしまおうかな。謝らなきゃいけないけど、知らんぷりしてようかな。こうした判断は「荒み」の時にはしてはいけない、ということです。

 そしてこうもいいました。
 「慰めのときに、次に備えなさい。」
 …やり切ったと思っていた模試がやはり、結構いい感じだった。けど、やはりこの分野が自分の苦手分野だな。いい試合をして勝てたけど、ここの部分はもっと自分はできるはずだ!とか。

 もし今ちょっとしんどいと感じている人がいたら、無理にがんばらなくていい。それは、人の心の動きとして、当たり前の反応です。しっかり寝て、美味しいごはんを食べて、友達と笑ってください。
 心は、スマホのバッテリーみたいなものです。充電が切れても、それは壊れたわけじゃない。少し時間をかけて、つなぎ直してやれば、また動き出す力がある。

 新しい1週間が始まります。この朝礼が、みなさんの「慰め」のスイッチのひとつになれば幸いです。新しい1週間。自分にも周りにもやさしく過ごせますように。

投稿 20250526 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250512 全校朝礼 /kowa/20250512-2/ Mon, 12 May 2025 06:11:20 +0000 /?post_type=kowa&p=63836 「見えないものを見る姿勢」  おはようございます。 連休明けから今週の言葉には「Serve one another humbly in love(愛を…

投稿 20250512 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
「見えないものを見る姿勢」

 おはようございます。
 連休明けから今週の言葉には「Serve one another humbly in love(愛をもって互いに仕えなさい)」(Galatians 5:13)が掲げられています。ナガ高生の来校にあたり、選んだ言葉です。明日、ナガ高生は広島学院での滞在を終え、帰国の途につきます。残り2日間、お互い愛を持って支え合って、お互いが「良い出会いだったな」と思える時間を過ごして下さい。

 さて、連休に入る直前には、遠足がありました。普段はなかなか行かない場所で冒険し、新しい仲間もでき、以降、クラスの雰囲気も徐々に打ち解けてきたんじゃないかと思います。
 実は、みなさんが「遠足、楽しかった!」と笑顔で帰ってくることができた舞台裏には、1月からの先生方のコツコツした準備がありました。例えば、中1の先生方は、まだ会ったこともない70期生の顔を想像しながら、
 「どうしたら楽しんでもらえるかな」
 「どうしたら達成感を味わってくれるかな」
と、寒い中、下見に行ったり、議論したり、計画を練ったりして下さっていました。
 もちろん、先生たちはドヤ顔で「俺たち、こんなに頑張ったんだぜ!」などと、今日にいたるまで皆さんにお話をされたことはなかったと思います。なぜなら、それは仕事でもあり、みんなに自然に楽しんでもらえることが一番だと思っておられるからです。

 しかし、皆さんにはそこにちょっとだけ想像力をはたらかせてほしいんです。楽しかった遠足の裏には、先生たちの3か月間の真心のこもった準備があった…それを想像できるかどうかで、見える世界はぐっと変わってきます。
 実は、こういう「見えない真心」、学校生活のあちこちにあふれています。
 朝、中高ホール前に葉っぱが落ちてないのは、守衛さんがみんなのことを思いながら、早朝から掃いてくれているからです。
 下校後、ぐちゃぐちゃだった教室の机が翌朝きちんと並んでいるのは、誰かがみんなのことを思いながらそっと整えてくれているからです。
 家に帰ったら暖かいご飯が待っているのは、おうちの人が仕事や家事で忙しい中でも、みんなの笑顔を思い浮かべながら準備してくれているからです。
 目には見えないけれど、たくさんの人の心が、みなさんの毎日を支えています。それに気づくことができる人は、きっと人に優しくなれるし、自分自身ももっと豊かになれるはずです。広島学院が、そんな思いやりにあふれた場所になってくれたらいいな、と思っています。見えないものも見えるようになると、先生の頭の上の天使の輪も見えるかもしれません。

 今日から中間試験1週間前に入ります。学業第一の期間だからこそ、そんな「見えないものを見る姿勢」を意識して下さい。

投稿 20250512 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250421 全校朝礼 /kowa/kowa-62712/ Mon, 21 Apr 2025 03:55:09 +0000 /?post_type=kowa&p=62712 今週の言葉(4/21~)「新しい命に生きるために」(ローマ6:4)  おはようございます。 昨日は「復活の主日」、イースターでした。世界中のキリスト者…

投稿 20250421 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
今週の言葉(4/21~)
「新しい命に生きるために」(ローマ6:4)

 おはようございます。
 昨日は「復活の主日」、イースターでした。世界中のキリスト者がこの日を祝い、感謝の祈りを捧げました。本校でもカトリック研究会の春の集いが行われ、イースターのお祝いをしましたが、そのミサ中に、理科の兵藤先生が洗礼を受けられました。洗礼式は、66期生が様々な準備や協力をしてくれ、また、姉妹校4校の研修スタッフや庚午カトリックセンターの皆様も駆けつけてくれ、参列者全員がお恵みをいただけた暖かなひと時を過ごすことができました。改めて、兵藤先生、おめでとうございました。

 さて、今週の言葉は、パウロが書いた手紙の中の一節、ローマの信徒への手紙の一部を選びました。
「わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。」(ローマ6:4)

 「新しい命に生きるため」。これが今週の言葉です。
 この「新しい命」という言葉、ちょっと詩的すぎて、なんだか遠いもののように聞こえるかもしれませんね。
 でも、実はこれは、私たちの日常のすぐそばにあるメッセージだと、私は思っています。

 キリストの復活は、ただ「すごい奇跡が起きた」という出来事ではありません。
 それは、「絶望の中でも希望は失われない」「過去がどうであれ、私たちは新しく生き直すことができる」ということを、神が私たちに示してくださったしるし、と私は考えています。
 皆さんの中にも、「うまくいかなかった」「誰かとぶつかった」「なんだかやる気が出ない」——そんな日があると思います。でも、復活という聖書の話が教えてくれるのは、「そこで終わりではない」ということです。

 先日、70期生の入学式で、私は「60期生の入学を…」とハレの日の大切なスピーチを新入生や保護者、全教職員の前で間違えてしまいました。70期生の皆さん、あの時はごめんなさい。ここでお詫びさせて下さい。学院生の皆さんにとってはもしかしたら、大したことではないように聞こえるかもしれませんが、校長として初めて臨んだ大切な式典で、あり得ないミスをした私は、穴を掘ってしばらくそこで体育座りをしていたい気持ちでいました。ところが、翌日の始業式の日に、弟を新入生として持つある上級生が「先生、昨日、新入生を60期生って自信を持って言い切っていましたね」と満面の笑顔で私に話しかけてきてくれました。その笑顔を見た時、私は理由なく救われ、「よし、新しく一歩踏み出すぞ」という気持ちになりました。
 正直、この程度の話以上の失敗・挫折を皆さんは当然、経験してきていると思います。

 失敗があったとしても、悲しみや挫折があったとしても、そこから「新しい命」に歩み出すことができる…そんなメッセージが今週の言葉「新しい命に生きるために」には込められていると思います。
 学院の生活も、今年度が始まってまだ間もない時期。新しいクラス、新しい目標、新しい仲間。でも、それらをただ「新学期だから」と受け身で受けとるのではなく、自分自身が「新しい命に生きる」つもりで、主体的に歩み出してみてほしい、と思っています。
 昨日までの自分ではなく、今日から始まる「新しい自分」。小さな一歩でも、それが復活のいのちにふさわしい歩みになると、私は信じています。それでは、今週も、学院生活を一歩ずつ大切に歩んでいきましょう。

投稿 20250421 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250414 全校朝礼 /kowa/kowa-62425/ Mon, 14 Apr 2025 00:49:01 +0000 /?post_type=kowa&p=62425 今週の言葉「渇く」(ヨハネ19:28)  今週はキリスト教会では、聖週間とされています。四旬節の最終局面において、イエスの復活を準備する大切な期間です…

投稿 20250414 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
今週の言葉「渇く」(ヨハネ19:28)

 今週はキリスト教会では、聖週間とされています。四旬節の最終局面において、イエスの復活を準備する大切な期間です。聖木曜日、聖金曜日、復活徹夜祭、そして復活祭(イースター)と続きます。
 キリスト教では、私たち人間は皆、罪びとである、と考えます。そして、イエスがご自身の命を十字架上に捧げたことで、私たちは救われた、そして、死んだはずのイエスが、十字架刑から三日目に何と復活して、方々で姿を見せた、とされています。
 一連の話は、皆さん中高生が理解するには、とても難しい話だと思っています。それゆえ、これらの話を今すぐに信じなさい、と私は思っていません。キリスト教の基本的な考え方として、知っておいてください。ただ、これらの話が今に生きる私たちにとって、本質的にどのような意味を持つのか、という問いを持つことは、本校で生活するにあたっては、大切なポイントと思います。

 聖週間のうち、聖金曜日は、イエスが十字架上で息を引き取ったことを偲ぶ日です。イエスは金曜日の夕刻に息を引き取ったとされ、それゆえ、本校でも伝統的に聖金曜日は、授業は午前中のみ、午後は下校、イエスの死に思いをはせることになっています。

 さて、イエスが生きたユダヤ人の世界は、今の社会と比べても、極めて差別や偏見、暴力や今でいうハラスメントに溢れた時代でした。その時代にあって、イエスは「あなたが何人であれ、どんな職業であれ、どこに住んでいようと、あなたはとても大切で、かけがえのない存在ですよ。神様は私を大切にして下さる。そして、私もあなたをとても大切にするから、あなたも周りの人をとても大切にして下さいね」というメッセージを放ち続けました。ところが、これが、時の権力者や既得権益を持った人たちの間では不都合なメッセージと受け取られ、最終的にイエスは捕らえられ、死刑宣告されます。屈辱を受け、唾を吐きつけられながら、十字架刑に処されます。しかも、自分を信じていた弟子たち全員からも見捨てられ、肉体的にも精神的にも一人ぼっちの死でした。そのイエスが死の間際に口にした言葉が、今週の言葉「渇く」です。

 極限の状況の中で、イエスは何に渇いていたのでしょうか。実際にのどが渇いていたのでしょう。しかし、それ以上にこの「渇く」という言葉は、「切望する」「心の奥からやりたい」という最後の願望を示していた、とされます。肉体的に精神的にも絶望的な状況の中で、イエスは、自分のことではなく、周りの人々の幸せや、人々に愛を伝えることに渇いていた、と考えられています。自分のことしか考えられない状況で、人の幸せを願うことが、私たちは出来るでしょうか。聖金曜日…そうした自分自身の問いをイエスの十字架上の死と重ね合わせて考えてみて下さい。

 そして、もう一つ。皆さんは何に「渇いている」のでしょうか。
 『スラムダンク』という漫画作品の中に、三井君という人物がいます。三井君は中学から全国的に有名なバスケの選手でしたが、高校入学後、膝を怪我し、何一つうまく行かないうちに、バスケから離れ、不良軍団に身をおくことになりました。そして、あろうことか、自分の所属していたバスケ部に嫌がらせを始めます。ところが、いつもの通りバスケ部に嫌がらせをしていたある時、恩師である安西先生と目が合った瞬間に、三井君は泣き崩れます。そして思わず出てきた言葉が…「安西先生…バスケがしたいです」。不良軍団に身を落とし、やさぐれていても、それでも三井君は、やっぱり「バスケがやりたかった」のですね。バスケに渇いていたのでしょう。

 イエスは「愛に生きること」に渇いていいました。皆さんが本質的に心の奥底からやりたいこととは、何でしょうか。大人に言われるままにやらねばならないことをやらされている…そんな日常が続いていませんか。また一方で、ゲームやスマホ、漫画の乱読は、本質的な喜びでしょうか。今週は聖週間であるとともに、通常の日常生活がいよいよ本格的にスタートします。自分が本当に「渇いている」ことは何か、心の奥底からやりたいことって何だろうか…そうした問いとも向き合う1週間であることを願っています。

投稿 20250414 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250408 始業式 /kowa/kowa-62267/ Tue, 08 Apr 2025 08:17:20 +0000 /?post_type=kowa&p=62267 今週の言葉「…あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。」(ヨシュア記1.9) 67期生の皆さん、高校入学おめでとう。皆さんは義務教育を終え、自…

投稿 20250408 始業式広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
今週の言葉「…あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。」(ヨシュア記1.9)

67期生の皆さん、高校入学おめでとう。皆さんは義務教育を終え、自分の意思で高等学校の学びに入りました。学院生活の折り返し、皆さんが良き学校のリーダーとなって盛り上げてくれることを心から期待しています。

そして、70期生の中1の皆さん、改めまして、広島学院、入学おめでとう。
昨日の入学式は中3のみの参加でした。是非、新しいファミリーの顔を先輩方に見せて下さい。
70期生、起立。他学年の皆も中1・70期生の方に体と心を向けて下さい。

皆で歓迎の拍手。70期生、着席。

昨日の入学式で、とても頼もしく、心強い出来事がありました。入学式の日は、私たち教員は猫の手も借りたいくらい忙しいのですが…そんな場に白馬にのった騎士団が登場してくれました。生徒会執行部の皆が、私たち教員が何もお願いしていないにも関わらず、自発的にヘルプチームを作り、無線で連絡を取りあいながら、写真撮影がスムーズに行われるように奔走したり、ガクもんを登場させて新入生の心が和むような工夫をしてくれました。彼らに新入生が、そして私たち教員が、どれだけ救われたことか。。。彼らがこれから1年、学校を引っ張ってくれると思うと、とてもワクワクします。生徒会執行部の真心に敬意をしめしたいと思います。拍手!ありがとう。

お伝えし忘れていましたが、今月より、本校の校長に就任しました。どうぞよろしくお願いします。多くの皆さんがこの人事に驚きを隠さなかったと思います。というより、私自身が一番、驚いています。ご存じの通り、私は一人では何もできない男です。生徒の皆さん、広島学院をより魅力あふれる、唯一無二のイエズス会学校となりますよう、力を貸してください。よろしくお願いします。

今日、広島学院は創立70周年の新しいスタートしました。”FORWARD AGAIN“(もう一度、前へ)を合言葉に、新校舎建設に向けても動き出します。

学年団の新しいシステム・体制もスタートしました。昨年度までは基本、6名の学年団でしたが、今年から、各クラスに正担任、副担任を置き、2人の先生方がクラスを見守る体制となりました。学年主任は当該学年クラスの副担任も兼ねます。学年団8名の先生方で一学年のファミリーを造り、皆さんがおかれている状況に応じた選択肢を取りやすくなるように配慮いたします。また、クラスの公的な担当窓口は、原則として、正担任です。保護者個別面談は原則として、正担任が行いますが、生徒個別面談等は状況に応じて、副担任が行う場合もあります。

さて、新年度開始に当たってのお話。

一年前、私は、不思議な体験をしました。といっても、この話を聞いた皆さんにとっては、何の変哲もない体験に聞こえるかもしれません。

昨年の3月末、イエズス会4校の合同イベントが神奈川県秦野市にある上智短大が行われ、私はその引率者でした。初日の集合時間ギリギリになってしまったので、車窓から見える景色など皆目意識せず、私は大慌てで引率しました。どうにか集合時間内に上智短大について一息ついたとき、「上智短大からは富士山がきれいに見える」と聞いていたことを思い出しました。ところが、建物からまわりをぐるりと見まわしましたが…まったく富士山は見えません。そのままその日は夜となり、暗闇の中からも当然、富士山は全く見えませんでした。

翌朝、起きたら澄んだ空気に雲一つない真っ青な空が広がっていました。そのまま朝の散歩に宿舎の外を出て数歩歩いてみると…目の前にあれだけ探したはずの富士山がそびえたっているのです。真っ青な空に、白く冠雪したシルエットが裾まで広がる、それはそれは美しく、雄大な佇まいでした。その圧倒的な存在にしばし心を奪われましたが、次の瞬間、「昨日、あれだけ、富士山の姿を探してた時間は何だったのだろう。」とモヤモヤが始まりました。ほんの少し、宿舎から出ただけで、富士山はその威風堂々とした姿を当たり前のように見せてくれている…私がまったく見向きもしない間も、その威容は私をあたかも太古の昔から見守っていてくれていたようで、忙しくせわしく景色など見る余裕のなかった自分が、なんだかとても恥ずかしく思えてきました。

そう思った時、普段の私の姿を象徴しているような気にもなってきました。大して忙しくもないのに慌て、心のゆとりを失い、ずっと私の中に存在している大切な人や出来事、大いなる存在をあたかも無かったかのように忘れている自分。父と母、家族、恩師、親友、達成した出来事…そして、神様。しかし、自分は見失っていても、父や母、親友、恩師、大事な出来事、そして神様は、いつも自分と共にいてくれたんだ、ということにも気が付きました。富士山をみながら、そう思った時、なんだかいつも以上に力が湧いてきました。

今週の言葉は、旧約聖書のヨシュア記冒頭を取り上げました。出エジプトの際、モーセの後継者となったヨシュアが、神から授かったとされる言葉です。

「わたしは、強く雄々しくあれと命じたではないか。うろたえてはならない。おののいてはならない。あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。」

新入生は、知らない人だらけに囲まれていて、不安な気持ちの方が多いかもしれません。中2から高1は、キラキラ見えていたはずの世界をどこか薄暗く感じ始めているかもしれません。高2・高3は受験期に突入し、自分の未来に対する漠然とした不安にさいなまれているかもしれません。でも、安心して下さい。皆さんは、決して一人ではありません。小学校でお世話になった野球のコーチや、大切な思い出、親友の真心、無条件に愛情を注いでくれる保護者やおじいさん、おばあさん…、阿弥陀様、法華経、神様。今、物理的にはここでは見えませんが、確実に皆の中に存在し、常に皆を支えてくれています。だから、安心して、新しいスタート、新しいチャレンジにあたって下さい。きみたちがどこに行っても、君たちの大切な大いなる存在は、常に君たちと共にあります。慌ただしい時期ですが、そんな時期だからこそ、静かに自分の心を振り返り、自分の中の大いなる存在、無条件に支えてくれている存在を思い起こしてください。どんな結果が待っていようと、その存在が君たちをいつでも、支えてくれているし、これからも支え続けてくれます。

今日はクラス役員を決めたり、新しいチャレンジが早速待っています。さらに今年は2か月後に文化祭が待っています。うろたえず、おののかず、新しいチャレンジをこの70周年の記念の時に踏み出していきましょう。君たちには常に、絶対的な、大いなる存在がともにあるのだから、安心して下さい。

投稿 20250408 始業式広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20250407 入学式式辞 /kowa/kowa-62220/ Mon, 07 Apr 2025 06:03:12 +0000 /?post_type=kowa&p=62220  新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。  桜満開の今日この日に、新しく、70期生190名が新たに学院ファミリーに加わってくれたことを心から、嬉…

投稿 20250407 入学式式辞広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 桜満開の今日この日に、新しく、70期生190名が新たに学院ファミリーに加わってくれたことを心から、嬉しく思っています。また、ご家族の皆様、ご子息の晴れの日を心よりお祝い申し上げます。私立中学を受験する、と決めた日から、今日にいたるまで、各ご家庭で様々な苦難や喜びの日々をご経験されたことと思います。小学校最高学年としての日常生活に加え、習い事と受験の両立、連日の夜遅くまで続く塾の授業、ご家族の皆様におかれましても、送り迎えや学びの伴走などなど、きっと本校に入学する今日この時までは、「頑張ったよ」「よく頑張ったね」の一言では言い表せない毎日を送られていたことと存じます。そのご生活の最後の選択として、数ある学校の中から広島学院を選んでいただいたこと、心よりお礼申し上げます。合格発表の日や新入生登校日の皆様の様子を陰から拝見させていただき、私たちもそのご期待に沿える学校でありますよう、心が引き締まった次第です。

 申し遅れましたが、この4月より広島学院中学校・高等学校の校長を務めております、阿部祐介と申します。私も、皆さんと一緒で、校長1年生です。1年生同志、怖いもの知らずのチャレンジ精神で新しい学院の時代を一緒に切り開いていきましょう。

 広島学院は皆さん70期生を迎えた本年度、創立70周年を迎え、”FORWARD AGAIN“(もう一度、前へ)を合言葉に、新校舎建設に向けて動き出します。70年の伝統を大切にしつつ、70期生の皆さんと共に新たな学びを創造し、より善い社会創生のお手伝いができることを心から嬉しく思っています。現在、新校舎の最終設計作業を進めており、10月からはいよいよ第1期工事が開始され、全てが完成するのは皆さんが中3になった秋です。仮設校舎は作らず、建設中も現校舎で授業は続けます。この間、前庭は使用ができませんが、それ以外、全グラウンド、全体育館、本館西館すべての施設は今まで通り使用できますので、心置きなく学び、遊び、鍛えて下さい。

 新しい友達ができるかな、勉強についていけるかな、何かに打ち込むことができるかな…様々な期待や不安を持って、今日、皆さんはここにいるかと思います。でも、安心して下さい。先輩たちは、いつでも皆さんのお手伝いや声掛けをしますし、クラスには担任と副担任の二人の先生方が皆さんの様子をいつも見て下さいます。学院での学習もゼロからの横一線のスタートで、先生方も分からないことがあれば、基礎的なことがらから応用まで、とことん、皆さんに付き合ってくださいます。2日間も過ごせば、気の合う愉快な新しい仲間ともうちとけ、不安もすぐに消えていくかと思います。安心して、これからの学院生活を大いに楽しみ、大いに学んで下さい。

 さて、「学ぶ」ということは、本来、とても贅沢なことです。皆さんは、当たり前のように学校で、塾で、習い事でいままでもたくさんの学びを重ねてきたことでしょう。でも、それは、当たり前のことではく、とても贅沢はことなのです。

 広島学院の活動では、希望する生徒は、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、能登半島地震などの災害被災地やフィリピンなど外国のスラム街を訪れる機会があり、そこでは、小さな子供たちと接する機会が多くあります。決まってかの地の子供たちが口にする言葉があります。

 「早く学校に行きたい。」「早く学校で友達と会いたい」「学校で勉強してみたい」

 日々食べる物や寝るところを心配することなく、「学ぶ」ということが生活習慣になっている皆さんが、この学校で学ぶ意味・意義とは何でしょうか。地元の公立学校ではなく、他の国立私立の学校ではなく、広島学院に皆さんが進学した意味・意義とは何でしょうか。

 先ほど新約聖書のマタイによる福音書の一部が朗読されました。「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい。」。この箇所には、広島学院の設立母体である、イエズス会が大切にしている「仕えるリーダーシップ」の考え方が描かれています。「仕えるリーダーシップ」…少し、聞きなれない言葉ですね。

 通常、リーダーシップ、というのは、皆の先頭に立って、皆を鼓舞し、積極的に指示を出し、牽引するなどのことを示します。もちろん、このリーダーシップはこのリーダーシップで、大切なものです。しかし、イエズス会が大切にしている「仕えるリーダーシップ」の意味することは、そこではありません。

・病気でお休みした友達に、翌日、そっとノートのコピーを渡すことができるリーダーシップです。
・電車で重そうな荷物をもったご老人に、迷わず席を譲ることができるリーダーシップです。
・海の水を淡水化する研究を重ね、その技術を水不足で苦しむ人達のために実用化することに奔走する、そういいうリーダーシップです

 すなわち、「仕えるリーダーシップ」というのは、人が見ている、見ていないにかかわらず、自分が得する、損するにかかわらず、心をぐるりと、困窮した立場にある他者に向け、一歩を踏み出すリーダーシップのことを示します。

 全世界2,500校余り、163万人以上が学ぶイエズス会の教育は、社会的・経済的エリートを育てることを目的としておらず、社会に仕えるための指導者を育てることを目的としています。権力や財力や実力・能力をかさに人々を従わせるリーダーシップではなく、自分よりも小さく弱い立場にある人のために力を尽くせるリーダーシップのことを示します。広島学院では、被災地支援活動や地域での炊き出し活動、児童施設や高齢者施設での活動など、「仕えるリーダーシップ」を学ぶことができる活動が沢山ありますので、是非、折を見てチャレンジしてみて下さい。見える世界・景色が少しずつ変わってくれば、それは皆さんの成長のあかし、と思ってもらえれば、と思います。

 私たちの生きる世界は、決して穏やかなものではありません。パレスチナの紛争、自国ファーストの欧米諸国のリーダーシップ、目に余るヘイトスピーチ、環境破壊、エネルギー問題などなど。皆さんが、日本が、世界が直面する課題は多岐にわたります。そして、この混迷する世界の中で、皆さんの才能、タレントを必要としている人が必ずいます。これからの新しい学びに「仕えるリーダーシップ」を結び付けて、置き換え不可能な、かけがえのない存在になって下さい。個性豊かな仲間、先生方との学びあいの中で、それぞれが唯一無二の存在となり、「人の喜びが自分の喜びである」という世界観を6年間で身につけてくれることを切望します。そして、皆さんの磨かれた才能が、この世界、社会を明るく照らしてくれることを期待します。70期生の新しい学院ファミリーの皆さん、ようこそ、広島学院へ。

 最後になりましたが、新入生の保護者の皆様、ご子息のご入学おめでとうございます。大切なご子息を本校に託して下さり、私どもも身が引き締まる思いでございます。

 広島学院は、“ for others, with others”を体現するリーダーの育成を教育目標に掲げています。ご子息にはこれからの6年間、持てる才能や能力をより高めるとともに、豊かな心を育み、調和のとれた人格を形成して、将来それぞれが進む道で、人の幸せのために自分の力を惜しみなく発揮する人間に育ってもらいたいと願っています。そのために、生徒一人ひとりが様々な学びを積極的に求め、探し、深く心を耕すことができるよう、教職員一同、日々努力をしてまいりますので、保護者の皆様におかれましても、どうぞ私どもの教育にご理解を賜りご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 新入生とご家族の皆様の上に神様の豊かな祝福がありますよう祈りつつ、式辞とさせていただきます。

2025年4月7日
広島学院中学校
校長 阿部 祐介

投稿 20250407 入学式式辞広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>
20230911 全校朝礼 /kowa/kowa-40928/ Mon, 11 Sep 2023 00:21:48 +0000 /?post_type=kowa&p=40928 1、屋外時計が設置されました。   12期生の寄贈によるものです。 2、体育祭テーマ発表(→学校だより)   「ALL for ALL」 右の写真は9…

投稿 20230911 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>

1、屋外時計が設置されました。

  12期生の寄贈によるものです。

2、体育祭テーマ発表(→学校だより)

  「ALL for ALL」

右の写真は9日(土)の工事の様子です。

投稿 20230911 全校朝礼広島学院中学校・高等学校 に最初に表示されました。

]]>